2006/02/27

聖火が消えるとき

おかげさまでアクセス数が順調に伸びてます。ありがたいことです。
更新ペースがあまりよろしくないのは元々不精なものでご容赦願いたい。

トリノオリンピックが閉幕しました。
開会式でのルカ・バドエル+F2005デモランにも度肝を抜かれましたが、
先日の閉会式の演出もいかにもイタリア流。
本当にイタリア人はエンターテインメントの造詣が深くて豊かですね。
コミカルとシリアス、静と動、その緩急の巧みさには感心しました。
光と火の視覚的演出をさらに彩る変幻自在の音楽。
この陽気な国に緩やかなワルツがこんなに合うとは新たな発見でした。

オリンピックは「平和の祭典」なんて呼ばれます。
閉会式でも平和を象徴するパフォーマンスに溢れていました。
300人以上の花嫁達が鳩を描き出すマスゲームは感動的でした。
世界各国が参加し平和を喜び、誓い合う空間は限りなくピースフルです。

しかし残念なことに、この平和は閉鎖的な空間でしかありません。
トリノ市の青空で、聖火が平和の象徴という任務を全うしているときにも、
どこかでは同じくらい青い空をミサイルが飛び交っていたかもしれません。
聖火として生まれることが出来なかった炎が街を焼いていたかもしれません。
人間は太古から聖火を絶やさないとともに、戦火もまた消すことができません。

もちろん、オリンピックによって平和を尊重する精神は拡大しているでしょう。
しかし「オリンピックが始まるから戦争を止める」と言った国があったでしょうか。
むしろ「戦争によりオリンピックに出場出来ない」ことの方が現実でした。
オリンピックは「平和の祭典」として長い歴史を誇っていても、
悲しい事に未だに平和の「象徴」でしかありません。

オリンピックに限らず、スポーツというものはルールの下で競い合うものです。
ルールの下で勝敗を争うからこそ、そこにドラマが生まれ感動が生まれます。
競い合い、相手を打ち負かすというのは人間の本能であると思います。
しかしルールを取っ払い、相手に勝利することだけに特化すると当然、
もはやスポーツではなくなります。その先には闘争があると思います。
かなり極論ではありますが、スポーツが人間の競争本能を源とするならば、
その延長線の果てには戦争というカードが一枚あるだけだと思います。

人間は平和を願いオリンピックを開催し続け、競い合います。
その競争する本能自体が戦火の引き金であるということは皮肉な話です。
人間は生前悪でしかないのでしょうか。

なんてことを考えながら、トリノ市の聖火が消えるのを見ていました。
でもオリンピックは素晴らしくて、やっぱり競争は悪いことばかりではないです。
人間がもうちょっと賢くなって、スポーツで留めておけばいいんですよね。
それまで「平和の祭典」には、もうひと踏ん張りしてもらいたいもんです。

今日の一曲:Imagine/John Lennon

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2006/02/13

二人のチャンピオンとアクアミネラリ

金曜の夜から軽く旅に出てました。
旅の詳細は後日ゆっくり書こうと思っとります。

トリノオリンピックが開幕しましたねぇ。
ニュースなんかでは、やれモーグルだフィギアスケートだと賑やかだけど、
人間のジャッジが点数を決める種目ってあんま興味ないんです。

逆につい見入っちゃうのがダウンヒル。問答無用の超速タイム勝負。
これはF-1の予選とWRCをミックスしたような面白さがあって楽しい。
その昔、ツルブリッケンという名選手のスタートの仕方がカッコよくて
小学生のとき冬になるとよく友達とマネしてました。

で、今年も男子ダウンヒルを見ました。
今回のコースレイアウト、緩急斜面とコーナーの配置がなかなか巧妙で
しかもコース全域にいやらしくアンジュレーションがついてましたね。
しかも「アクアミネラリ」なんてコーナー名もあって
まさにスキー界のイモラサーキットって感じでした。

まぁ言うほど詳しくないんであくまでシロウト観戦だったけど、
ビックリしたのが、昔よくテレビで見てた選手がまだ出場してたこと。
マイヤー、オーモット、チュ-スがまだ滑ってるとは…

なかでも、ヘルマン・マイヤーの滑りは印象深かったなぁ。
その昔は文句なしの最強ダウンヒラーだったこの人、
流石にライン取りや体さばきは相変わらず天下一品でした。

でもタイムが出ない。最近の若いトップランナーのタイムに届かない。
あ、ちなみに若い選手の名前は覚えられませんでした。
スキー強国の人の名前って覚えづらいのが多いです。
大ベテランのマイヤーが若手に負けて天を仰ぐ。
アナウンサーは「ターミネーターの面影は無いぃ!」とがなりたてる…

思わずミハエル・シューマッハーとオーバーラップしました。
まさに去年のイモラサーキット、アロンソに敗れたサンマリノGPじゃないですか。
ミハエルが懸命に若い挑戦者を追ってアクアミネラリを駆け抜けた10ヵ月後、
マイヤーもまた若手のタイムを追って同名のコーナーを滑り降りたわけです。

どちらも長く最強の王者として君臨し続け、ターミネーターと呼ばれた男。
たとえどんなに強くても、どんなに負けるのが想像つかなくても
スポーツの世界ってのはちゃんと世代交代がやってくるんですよね。

肩を落としてゴーグルを外すオーストリア人ダウンヒルチャンピオン。
こんな風にヘルメットを脱ぐドイツ人F-1チャンピオンはまだ見たくないなぁ。

今日の一曲:スーパースター/くるり

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